マネー、著作権、愛

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著作権

風雲急を告げる著作権法

著作権法改正の機運が急速に高まっている。 テレビ局がテレビ番組をネット配信しやすくするための法改正だ。 以前の記事で私は以下のようなことを書いていた。 ・テレビ局が番組を制作するにあたっては、 色んなものの許可を取らないといけない。 「放送」だ…

お疲れさまでした。

安倍晋三氏が総理大臣のバトンを次の人に引き継いだ。 安倍総理といえば、 「ダウンロード違法化」にストップをかけたことが思い出される。 それまで、ごく一部の人をのぞき、 著作権法に大きな関心のある政治家はいなかった。 官僚がまとめた著作権法の改正…

その武器は、正しい武器ですか?

コロナのせいか、イライラしている人が多いようだ。 ワイドショーで、SNSで、デモで、 誰かが誰かを批判している。 あなたが心を込めて作った小説、音楽、漫画などの作品が、 誰かに批判された場合について考えてみよう。 「この表現が稚拙だ。下手くそだ」 …

著作権法の穴は埋まったのか?

今回は、1年ほど前に書いた記事の続きだ。 以前テーマにした「著作権制度の欠陥」について、 もうすぐ大きなルール改正がある。 その内容を簡単に説明しておこう。 著作権制度の欠陥 以前の記事で、著作権に関する「契約」をテーマにしたことがある。 その…

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(7)

ここまでのまとめ ここまでの話をまとめる。 ・著作権の世界では、放送とインターネットは別物。 ・テレビ番組を作るとき 権利者に「放送させてください」と言って許可とっても ネットに流すなら「ネットでも流させてください」と 別に許可をとらないといけ…

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(6)

今回はテレビ局の立場から考えよう。 テレビ局(NHKと在京キー5局)は今回の議論では 「放送と同時に行うネット配信等を放送と同じ扱いにしてほしい」 と要望している。 これには、どんな狙いがあるのだろうか? テレビ局の危機感 言うまでもないが「放送局…

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(5)

今回は、文化庁の立場で考えよう。 テレビをめぐる著作権の問題について、議論がつづいている。 全体的には文化庁が「わるもの扱い」されているような雰囲気で進んでいる。 「インターネットの世界に進出しようとするテレビ局の要望を ぜんぜん聞き入れよう…

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(4)

前回までの記事で基本的な部分を解説した。 ・「放送」と「インターネット」は、 著作権的には全く別物として扱われている。 ・著作権の世界には「権利者」と「利用者」しかいない。 その違いを意識することが大切。 今回は、放送局の立場から「権利者」と「…

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(1)

政府の「規制改革推進会議」という場で、 テレビ局(東京キー局とNHK)と文化庁が 著作権法の改正をめぐって激しくぶつかっている。 そこへ推進会議側や政治家も参戦し、大混戦になってきた。 もしテレビ局の主張が通れば、著作権の大変革となる。 今回はそ…

AI漫画「ぱいどん」に著作権はあるのか?

「人工知能が作った漫画『ぱいどん』に著作権はあるの?」 こんな質問があったので、簡単に答えておきたい。 『ぱいどん』 漫画の神様・手塚治虫さんの❝新作❞漫画をAIの力で生み出そう! というプロジェクトから生まれたのが『ぱいどん』だ。 今なら前後編…

パクリならNG! オマージュならOKか?(簡略版)

この時期、家にこもって創作活動にはげんでいる人も多いと思う。 小説も漫画も音楽もゲームも、 読んだり聞いたりするより、自分で生み出す方が楽しい。 生みの苦しみも、楽しみの一つだ。 創作活動の初心者は、まずは人マネから始めるのが普通だ。 文化とい…

ダウンロード違法化ついに法改正へ!でも、気にしないでいい。

文化庁の勝利!(?) 世間を騒がせた「ダウンロード違法化問題」。 改正法案が国会に提出された。 文化庁の執念が実ったのだ! ●「海賊版」対策 強化決定…著作権法改正案 ダウンロード規制 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200310-OYT1T50387/ この法…

JASRAC vs 音楽教室の話題をクールに語る方法

「文化の盗用」の連載は1回お休みして、 今回はJASRACと音楽教室の話をしたい。 JASRACの勝利 JASRAC(日本音楽著作権協会・ジャスラック)と ヤマハ音楽教室等を中心とした「音楽教育を守る会」が 裁判で戦っていたが、 その第1ラウンドとなる東京地裁で…

『ONE PIECE(ワンピース)』がハリウッドで実写化! でも、喜ぶのはまだ早い。

ファンにとっては嬉しい大ニュースが発表された。 ネットフリックスが、マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』の 実写版ドラマシリーズを制作し配信するというのだ。 ●『ONE PIECE』ハリウッド実写化、Netflixで全10話配信 尾田栄一郎も参加 https://www.cinra.…

オリンピックまで半年。あの悲劇を思い出そう。

東京オリンピックまで、半年をきった。 これから、日本中がお祭り騒ぎに飲み込まれていくだろう。 ●五輪まで半年、花火やライトアップで祝う 東京・台場 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54820370U0A120C2CR8000/ でも、我々はあの悲劇を忘れてしまっ…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(4)ハッピーエンド

日本のマンガや小説を原作にしてハリウッド映画を作る場合。 契約条件には要注意だ。 ここまでは3つのパターンの悲劇を見てきた。 ・映画が制作されず、塩漬けになるケース ・映画は制作されるが、無残な姿に改変されるケース ・映画はヒットするが、名声と…

死者に思いを。

おけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 「死者の権利」について この1年を振り返ると、 「亡くなった人の情報の扱い」について 注目の集まることが多かったと感じる。 京都アニメーションの放火殺人事件では、 被害にあった方の実…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(3)奪われた名声と大金

日本原作のハリウッド映画化。 満足できる契約条件にたどり着くまでの道のりは遠い。 ここまでは2つのパターンの悲劇を見てきた。 ・映画が制作されず、塩漬けになるケース ・映画は制作されるが、無残な姿に改変されるケース 今回は3つめのパターンを見て…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(2)原作レイプ

日本の作品を原作にしたハリウッド映画。 契約交渉は非常にハードになる。 今回は別パターンの悲劇を見てみよう。 今度こそ! 先週登場した角野君を思い出してほしい。 契約に失敗し失意のうちにマンガ出版社の芸漫社をやめてしまった。 やる気を無くし、お…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(1)

『名探偵ピカチュウ』、『ゴジラ』、『アリータ』など、 日本原作のハリウッド大作に注目が集まっている。 子供の頃に日本の作品に夢中になっていた世代のアメリカ人が成長し、 映画プロデューサーとしての権限を持つようになり 「大好きだったのマンガを俺…

NHKが大河ドラマで大失態!~ラジオの謎(フィクションです)

声優人気のおかげもあって、ラジオドラマの需要は根強い。 ●ラジオドラマが続々復活 高まる需要の背景は? https://www.oricon.co.jp/news/2059729/full/ ラジオの仕事をしている人は、 おそらく9割以上が間違えるクイズを出題したい。 架空の内容だが、現実…

悪魔の契約 ~ 著作権譲渡について

今回は、一部のクリエイターから忌み嫌われている 「著作権譲渡」について、ちょっと考えてみよう。 クリエイターの目線から あなたはフリーの若手イラストレイターだ。 自分の仕事に誇りを持っている。 ある日、塗装業の会社から依頼が来た。 「弊社は塗装…

マンガ作ったよ! & 権利はいつ切れるのか?

マンガ完成 制作していたマンガが完成した。 マンガ「助手席には流れ星」 (※実際の色味はもっと綺麗。写真撮影は苦手) 物流会社からの依頼を受けて制作したものだ。 トラック運転手が謎の女性と出会い、 ドライバーとして、人間として成長していく物語にな…

ゲームの歴史と著作権の未来を考える

ゲームとは、映画である。 いやいや、別に比喩表現で深いことを語りたいわけじゃない。 著作権の世界では、 ゲームは間違いなく映画だということになっている。 そういう話だ。 著作物のジャンル 小説、音楽、絵画・・・など、 著作物と言われるものには色ん…

ダウンロード違法化ウォーズⅡ ~文化庁の逆襲~(2)

前回、法改正に失敗した文化庁。 今回は本気だ。 何が何でも「ダウンロード違法化」を成立させようとしている。 文化庁が実施中のパブコメについて見ていこう。 (パブリックコメント。パブコメ。 国民に広く意見を求めること) まずは結論 この話をしている…

ダウンロード違法化ウォーズⅡ ~文化庁の逆襲~(1)

ネット上に違法にアップされている文章やマンガをダウンロードすると、 著作権侵害になってしまう! そんな法改正に向けて文化庁がまた動きだした。 すごい執念だ。 ダウンロード違法化の経緯 ダウンロード違法化については、けっこうな話題になったので、 …

今、肖像権が熱い!

肖像権の円卓会議 肖像権についての勉強会に参加してきた。 いや~、熱い会だった。 「肖像権ガイドライン円卓会議 ー デジタルアーカイブの未来をつくる」 http://digitalarchivejapan.org/3661 主催は「デジタルアーカイブ学会」。 日本中にある歴史、伝統…

JASRAC 嫌いの人を、キャバクラから理解する

「ちょっと音楽つかっただけなのに請求書が来た!」 「JASRAC(ジャスラック)は金の亡者だ!」 「あいつらはカスだ!カスラックだ!」 あいかわらずJASRAC嫌いの人は多い。 「JASRACから音楽を守る党」なんてものも出来そうな勢いだ。 ●JASRACから音楽を守…

タレントの写真を本人に無断で使って良いのか? 肖像権の深淵に挑む(1)

自分の好きなタレントの顔写真を、 タレント本人(もしくは所属事務所)の許可なく勝手に使った場合、 問題はあるのだろうか? 今回はこの疑問に答えたい。 ファンがブログで使う場合 ヤマダ君という人物を想像してほしい。 彼は女優・有村架純さんの大ファ…

歌手たちの大胆な戦略変更(2)

お笑いタレントと事務所のゴタゴタ騒ぎに世間の視線が集まっているが、 もっと大きなゴタゴタが静かに進行している。 歌手たちとレコード会社が 業界全体でつばぜり合いを始めているのだ。 復習 かるく前回の復習をしておこう。 音楽業界には3人の登場人物…