秋は食事がおいしい。
お酒が好きなは、お酒と一緒に。
お酒を飲まない人はノンアルコールドリンクと一緒に。
飲み物をおいしく飲むために、高いお金を払う必要はない。
歴史を知れば良い。
歴史の息吹と一緒に味わえば、どんなに安い飲み物でも最高の一杯になる。
『世界を変えた6つの飲み物』
おすすめしたい本はこれだ。
『世界を変えた6つの飲み物
ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語る
もうひとつの歴史』
この本、タイトルから想像するような、
お気軽なエピソード集ではない。
飲み物を切り口にして、
人類史の原動力を洞察する奥深い内容になっている。
(西洋中心のラインナップだが、まあそれは仕方ない)
ビールからは、
ワインからは、
ギリシャからローマに受け継がれる高レベルの文化を。
蒸留酒からは、
コーヒーからは、
明晰な頭脳から生まれた啓蒙思想を。
紅茶からは、
コーラからは、
アメリカから広がる資本主義の大発展を。
これ一冊読むだけで、人類の歴史が立体的に理解できる。
すごい本だ。
例えば、ビール。
ビールは、人類が農耕を始めたのとほとんど同じ時期に生まれた。
自然に発酵し人間が飲み始めたと言われている。
小麦からパンだけではなく、ビールも作るようになった。
ビールは水より腐りにくくビタミンも多く含まれていたので、
パンの栄養を補う飲み物として重宝された。
古代人は大きな陶器に入ったビールを共有し、
アシでできたストローを使ってみんなでチューチューと飲んでいた。
アルコールのおかげで気分が良くなる。
みんなが仲良くなる。
人々はメソポタミアやエジプトで都市生活をするようになり、
大勢でビールを飲むようになる。
古代文明が幕を開ける。
ビールはお金の代わりにもなった。
シュメールの神殿やエジプトのピラミッドを作るために
集められた労働者への給料はパンとビールだった。
納税や配給の記録としての文字が発達する。
古代の巨大建造物を作った人々は、
仕事終わりにみんなでビールを飲んで一日の疲れを癒していた。
「仕事終わりに、とりあえずビール!みんなで乾杯!」
という我々のイメージ。
実は古代からずっと受け継がれてきたものだったのだ!
メソポタミアから現代にいたるまで、
さまざまな人がビールを進化させ、
膨大な数の人々が飲んできた。
スーパーの特売品として売られる1缶190円のビールも、
数千年の歴史を背負っている。
どんな安物のビールでも、
古代ピラミッド職人と肩を並べて飲んでいることを想像すれば、
極上の味になる。
「完全に管理された〇〇の畑で、一つずつ手でつまれた果実をもとに
ヨーロッパで賞をとった熟練の職人が真心を込めて・・・」
というストーリーを聞かされると、おいしく感じる。
これが「ブランディング」の力だ。
我々が高級ワインを買うとき、ストーリーに対して何万円も払っている。
でも、ストーリーは買わなくてもよい。
本を読んで、自分で語れば良いのだ。
古代から連綿と続くストーリーほど味わい深いものはない。
私は20万円のワインより、
190円のビールの方を美味しく飲むことができる。
(高級ワインも好きだけど)
飲み物を楽しむためには、歴史を学べば良いのだ。
飲まない人のために
内容がお酒に偏ってしまったが、
上記の本はコーヒー、紅茶、コーラについても深い知識を与えてくれる。
ぜひ読んでみてほしい。
飲まない人のために、もう1冊紹介しておこう。
『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』
お酒を飲まない人でも、
肩身の狭い思いをしない世の中がもうすぐやってくる!
そう思わせてくれる素敵な本だった。
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秋は食事と飲み物を楽しみながら、本を読もう!
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