マネー、著作権、愛

創作、学習、書評など

著作権

歌手たちの大胆な戦略変更(1)

エンタメ業界やクリエイティブ業界が、何やら騒がしい。 ☆吉本興業・お笑いタレント・反社会的勢力 人気お笑いタレントが反社会的勢力のパーティーに参加して ギャラをもらっていたという事件。 それがきっかけになって、 吉本興業と所属タレントのあいだで…

追悼。 京都アニメーションの皆様。

京都アニメーションで34人の方が殺された。 (追記:36人になってしまいました) 負傷した方も30人以上いる。 彼らは東京でなくても素晴らしいアニメが制作できることを 証明し続けていた。 なぜこんな酷い目に合わなければいけなかったのだろう。 放…

金魚を電話ボックスに入れてもOK!/JASRACの潜入調査を擁護する

以前書いていた記事に関連する出来事が 立て続けに起きた。 話題は2つある。 ・金魚電話ボックス事件の裁判の内容が判明した。 そして、がっかりした。 ・JASRAC(ジャスラック)が 音楽教室に❝潜入調査❞していたことがニュースに。 それって話題にするほど…

グーグル VS ディズニー 抗争の勃発とその行方を予想する(5)

ここまでは、 著作権の世界における左派思想と右派思想や、 ディズニーとグーグルの生い立ちや現状を見てきた。 ディズニーは、その幼少期に著作権のトラウマをかかえ、 少しひねくれてしまった結果、右派思想に目覚め 著作権を強く主張するようになった。 …

グーグル VS ディズニー 抗争の勃発とその行方を予想する(4)

今回は、グーグルがその知力の限りを尽くして引き起こした 著作権史上最大のクーデター事件について見ていこう。 グーグルの発想 著作権には「左派思想」と「右派思想」がある。 右派思想は以下の主張をしている。 「作品はそれを生み出した作者のものなので…

グーグル VS ディズニー 抗争の勃発とその行方を予想する(3)

前回はディズニーについて著作権の観点から解説した。 今回はグーグルについて書こう。 世界を作り変えそうな勢いの巨大で多面的なIT企業。 今世紀を代表する天才的頭脳をもつ2人の創業者。 その全てを理解できると思えるほど、私もうぬぼれてはない。 し…

グーグル VS ディズニー 抗争の勃発とその行方を予想する(2)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を見てきた。 ❝俺たちの❞ゴジラが世界を舞台に大暴れする姿には、胸が震えてしまう。 宿敵のキングギドラと激突するシーンでは、ぞわぞわと鳥肌が立つ。 怪獣が魅力的すぎるせいで、 人間のシーンが「余分なもの」に見…

グーグル VS ディズニー 抗争の勃発とその行方を予想する(1)

私はグーグルとディズニーの間で争いが起きると予想している。 その抗争は、 経済的・ビジネス的な戦いである以上に、 思想的・宗教的な戦いとなるだろう。 そう考える理由と戦いの行方について、 これから数回かけて説明していこう。 著作権における左派と…

契約書はアートだ!(5) 作品を使わせてもらう場合

バーバリー、イソジン、リッツ、オレオ 「バーバリー」と言えば、イギリスの高級コートだ。 「イソジン」と言えば、日本中で親しまれている「うがい薬」だ。 「リッツ」「オレオ」と言えば、みんなが大好きなお菓子だ。 これらに共通する「あること」を知っ…

契約書はアートだ!(4) あなたの作品を使わせてください!と言われた場合

前回は「新規で発注を受けた場合」の契約書について解説した。 今回は「すでにある作品を使わせる場合」について考えてみよう。 「あなたのキャラクターをゲームアプリに使わせてください!」とか、 「あなたのブログを出版させてください!」のようなケース…

契約書はアートだ!(3) 依頼を受けて作る場合

新時代を迎えました。 令和の世では、 これまで以上に素晴らしく多様な文化作品が生まれることを願っています。 読者の皆様、今後ともよろしくお願いいたします。 場合分け 前回に引き続き、契約書との向き合い方について考えてみよう。 ここからは先は、場…

契約書はアートだ!(2) 基礎編

アベンジャーズ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観てきた。 いやー、恐れ入りました。 とにかく作りが丁寧。 これだけ大量のキャラクターが入り乱れて戦っているのに、 それぞれの個性を生かした見せ場がしっかりとある。 ヒーローのコラボ作品にありが…

契約書はアートだ!(1) 心構え編

契約書クイズ 今回は、今までで一番実用的な話をしたい。 契約書との向き合い方についてだ。 あなたがフリーで活動しているクリエイターだとしよう。 どこかの企業から取引の話が舞い込んでくる。 「わが社のウェブをデザインしてほしい」という話かもしれな…

ゴッホは天国でお金持ちになれるのか? 美術の特殊な世界(3)

ピカソとゴッホ 19世紀以降の芸術家として最も有名なのは、 ピカソとゴッホの2人だろう。 前々回の記事で書いたように、 ピカソは持ち前のマーケティング能力をフルに発揮し、 大金持ちになると同時に、モテにモテた。 ゴッホは生前、たったの1枚しか絵…

あなたもエコひいきしてませんか? ピカソ、バンクシー・・なぜ美術品だけが、あんなにも高額なのか 美術の特殊な世界(2)

以前の記事で「ダウンロード違法化」について解説していた。 www.money-copyright-love.com その後、法改正に向けて文化庁や自民党の内部で スッタモンダがあったようだが、最終的には見送られることになった。 ネット世論に配慮した安倍首相から、削除の指…

金魚を電話ボックスに入れちゃダメ! 現代アートと芸術の歴史を10分くらいで理解する 美術の特殊な世界(1)

金魚電話ボックス事件 現代アートの作家・山本伸樹氏が、奈良県の商店街を訴えた。 「自分のアートをパクられた!」という主張をしているのだ。 ●「金魚電話ボックス」巡り提訴 金魚の街、奈良・大和郡山の商店街に「著作権侵害」と美術家 https://www.sanke…

アリータ!スパイダーマン!ドラえもん! 最新キャラクター映画から貰ったもの

先週は「ダウンロード違法化」の法改正が行われつつある状況を解説した。 このまま進んでしまうのか・・・と思われていたが、 自民党でストップがかかったようだ。 ●ダウンロード違法化拡大、自民総務会が了承先送り https://www.asahi.com/articles/ASM314V…

スカートめくりを撲滅しよう! ~ダウンロード違法化について~

ある小学校での事件 とある小学校で、いたずら好きの男子生徒が女子生徒のスカートをめくった。 スカートめくりにショックを受けた女の子は、泣き出してしまう。 これを聞いた女子生徒の両親は激怒する。 「うちの大切な娘に何てことを! 学校の管理はどうな…

人口知能 × 著作権 第3次AIブームを振り返る(5)

今回の連載では、AIを入口にして 色んな方向へ考えを進めてきた。 ・作家やアーティストは、AIに仕事を奪われるのか? ・AIの活躍する時代に、コンテンツの長さはどうあるべきか? ・そもそも著作物とは何か? 今日は、これらの話題の中で掘り下げられ…

人口知能 × 著作権 第3次AIブームを振り返る(4)

AIは、短い作品なら作り出すことができる。 では、短い作品に著作権は発生するのだろうか? どの程度の長さから著作権は生まれるのか? AIが作った作品に著作権はあるのか? こうした疑問に答えたい。 今回は、これまでで一番「お勉強チック」な記事にな…

人口知能 × 著作権 第3次AIブームを振り返る(3)

今回は、「コンテンツの長さ」という視点で見てみたい。 AIが文化・芸術作品を作るうえでの特徴については、 以下のようにまとめられる。 ・長い作品、意味のある作品は作れない。 ・作品の「部品」になるような短いものなら作れる。 これを出発点に考えて…

人工知能 × 著作権 第3次AIブームを振り返る(2)

前回の記事では、 ・AIは大量のデータから学習し、どんどん勘が良くなっていく。 ・AIが文章の意味を理解することは絶対にない。 ということを確認した。 AIは、人間に代わって小説を書いたり、作曲したり、 映画を制作したりするようになるんだろうか…

人工知能 × 著作権 第3次AIブームを振り返る(1)

AIが人間を超える! AIに仕事を奪われる! AIが人間を支配する! ここ数年、毎日のように聞く言葉だ。 文化・芸術の世界でも、 AIが作曲できるようになったり、小説を書くようになったり、 美しい映像を作れるようになったりして、 作家・アーティス…

日本の文化を強くしよう。

あけましておめでとございます。 昨年の12月の記事では、 マンガ『ONE PIECE』の制作体制や、著作権の管理のあり方について扱った。 www.money-copyright-love.com すると、先日放送されたテレビ番組『ホンマでっか!?TV』で、 尾田栄一郎氏の自宅とアト…

スパイダーマン VS モンキー・D・ルフィ 日米2大ヒーローの対決に完全決着!(3)

先週までは、スパイダーマンとルフィを題材として 日米のコミックヒーローを比較した。 大きな違いは2つ。 1つ目は、「作品が誰のものか?」という点。 日本では、マンガの著作権はマンガ家個人のものだが、 アメリカでは、会社が組織として権利を管理する…

スパイダーマン VS モンキー・D・ルフィ 日米2大ヒーローの対決に完全決着!(2)

今回は、ルフィがスパイダーマンンに勝てない理由の 2つ目を説明したい。 マーベル映画の勢い マーベル社のコミックを原作としたハリウッド映画の勢いが止まらない。 『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ』、 『マイティ・ソー』、『インクレディブル…

スパイダーマン VS モンキー・D・ルフィ 日米2大ヒーローの対決に完全決着!(1)

スパイダーマン VS モンキー・D・ルフィ 今回は、スパイダーマンと『ONE PIECE』のルフィ、 どちらが強いのか?について考えたい。 スパイダーマンは、 マーベル社のコミック『アメイジング・スパイダーマン』から生まれた キャラクターだ。 冴えない高校生…

パクリならNG! オマージュならOKか?

質問 以前の記事で、「ライオン・キング」は「ジャングル大帝」のパクリか? という問題を題材にして、 著作権の制度を理解する上での基本的な考え方を解説した。 www.money-copyright-love.com この記事に関連して筆者のもとには、 「パクリはダメなのは分…

NHKと講談社の対決 「本当の敗者」は誰だ?を突き止める(5)

より良い関係へ 前回までの記事では、ドラマを制作するにあたって、 出版社、放送局、作家がそれぞれの立場で考え行動した結果、 残念な結果になってしまうまでの過程を見てきた。 これじゃダメだ。 こんなことを続けていると、みんなが不幸になってしまう。…

NHKと講談社の対決 「本当の敗者」は誰だ?を突き止める(4)

第3章:辻村深月 前回までの記事を振り返ろう。 作家・辻村深月氏の小説『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』を NHKがドラマ化しようとした。 しかし、脚本の内容について辻村氏が納得しなかったため、 講談社がドラマ化の許可を土壇場になって取り消した。 怒った…