マネー、著作権、愛

創作、学習、書評など

タレントの独立騒動!テレビ局はどちらの味方をすべきか?(1)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

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相変わらず、コロナが猛威をふるっている。

以前に予想した通り、日本は締めたり緩めたりを繰り返しながら、

長期戦をダラダラとやっている状態だ。

 

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専門家の言っていたことは、最初から正しかった。

中途半端な知識人が

「他の病気と比べてたいしたことはない」

「マスコミも一般大衆もすぐ飽きるだろう」

「経済活動とのバランスを・・・!」

などと言っていたが、全て間違っていた。

 

家にいよう。

 

続発するタレントの独立

予想通りといえば、タレントと事務所の動向についても、

以前に予想した通りの展開になっている。

 

芸能事務所からの大物タレントの流出が止まらない。

 

● 中居正広の独立で浮かび上がったジャニーズ事務所「崩壊の危機」

https://friday.kodansha.co.jp/article/99269

 

米倉涼子らに続き剛力彩芽も「オスカープロモーション」を退所 今年3月に設立した個人事務所を軸に活動

https://www.chunichi.co.jp/article/112479

 

吉本興業オリエンタルラジオと31日付で契約終了へ 「2人の意向尊重」

https://mainichi.jp/articles/20201228/k00/00m/040/243000c

 

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なぜこのような事態が起きるのか?

 

週刊誌に載っているような、

「マネージャーとタレントの仲が悪くて・・」とか

「事務所の社長がひどい人で・・」とか

そういう理由なのか?

 

それにしても、ここ最近タレントの独立が多すぎやしないか?

 

SMAP謝罪事件と公正取引委員会

業界全体に大きな影響を与えたのは、

皆さんもご存じの通り、SMAPがゴールデン番組で謝罪することになった

SMAP謝罪事件」と、それに続く一連の公正取引委員会の動きだ。

 

すでに世間では解説記事も出ているが、

ここでも分かりやすく説明しておこう。

 

リスクとリターン

どんなビジネスでも「リスクとリターン」で考えると、

わかりやすい。

 

リスクをとる。

 ↓

成功すればリスクをとった人が儲ける。

失敗すればリスクをとった人が損する。

  

勇気をもってリスクをとった人こそが、

リターンを得る権利をもつ。

これが全世界共通のルールだ。

(たまに、そうじゃない不公平なモデルもあるけど)

 

芸能事務所とタレントの関係でいうと、

リスクをとっているのはどちらか?

 

芸能事務所だ。

 

売れるかどうか分からない若者を雇い入れ、

先生にギャラを払ってレッスンを受けさせ、

マネージャーを雇ってプロモーションを行いデビューさせ、

その後も投資を続ける。

若者が売れるまで、お金は出ていくばかりだ。

それでも、タレントとしてブレイクするのは、百人に一人。

芸能事務所の経営は非常にリスキーだ。

 

そのブレイクした若者が獲得したギャラをどうするか?

当然に芸能事務所が取り分を要求できる。

リスクをとった人がリターンを得るのがルールだから。

事務所は、1人のブレイクタレントのギャラを残りの99人に

配分し投資を続けながら、次のブレイクタレントを育てる。

これが一般的な日本型の芸能事務所のビジネスモデルだ。

才能はあるがお金のない若者にとっては、

芸能事務所は非常にありがたい存在だ。

ブレイクするまで、

(ある程度までは)芸能事務所がリスクを負ってくれるのだ。

 

これは日本の代表的な芸能事務所が集まって作った

日本音楽事業者協会音事協)」の見解でもある。

 

●一般社団法人日本音楽事業者協会

 芸能プロダクションビジネスに関するFAQ

https://www.jame.or.jp/about/production.php

 

よく

「タレントが事務所に搾取される日本の芸能界はおかしい。

 欧米型のエージェントシステムに移行すべきだ」

と言う人がいるが、

その人は

「リスクを負わない若者にチャンスを与えるシステムはおかしい。

 タレント志望者は売れたかったら自分でお金を使って世に出るべきだ」

ということを、裏側から言っているにすぎない。

 日本型と欧米型のどちらにもメリット・デメリットがある。

 

商品は何?

しかし日本型には致命的な弱点がある。

 

芸能事務所の扱う商品は「人間そのもの」だ。

車、宝石、不動産、食料品・・・そういった一般的な商品と違い、

人間という商品は、「自分の意志」をもっている。

「人権」をもっている。

 

プリウスという車が「俺はトヨタをやめて独立する」と

言い出すことはないが、人間は意思をもっている。

 

ブレイクしたタレント本人が

「俺の才能で稼いだギャラが芸能事務所に吸い取られて、

 才能のない他のタレントにバラまかれるのは我慢できない。

 俺のギャラは俺のものだ!

 独立しよう!」

などという、

リスクを負った事務所からみるととんでもなく“不埒な”考え方に

目覚めてしまうことがあるのだ。

 

タレントにも「人権」があるので、

彼らには自由に独立したり事務所を移ったりする権利がある。

 

事務所としては、これを阻止したいので、

契約で独立や移籍を禁止したり、

さまざまな政治力を駆使したりして、

「タレントは自由に独立できないんだぞ」という思想を

タレントや世間に植え付けることに力を注ぐようになる。

 

こうした枠組みの闘争の中で、

独立騒動をきっかけに消えていったタレントは数知れない。

 

そしてついに、あの事件が起きた。

SMAP謝罪事件だ。

 

この後の流れについては、次回に解説しよう。

 

 

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ビールを最高においしく飲む方法!

秋は食事がおいしい。

お酒が好きなは、お酒と一緒に。

お酒を飲まない人はノンアルコールドリンクと一緒に。

 

飲み物をおいしく飲むために、高いお金を払う必要はない。

歴史を知れば良い。

歴史の息吹と一緒に味わえば、どんなに安い飲み物でも最高の一杯になる。

 

『世界を変えた6つの飲み物』

おすすめしたい本はこれだ。

 

『世界を変えた6つの飲み物

   ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語る

   もうひとつの歴史』

 

 

この本、タイトルから想像するような、

お気軽なエピソード集ではない。

飲み物を切り口にして、

人類史の原動力を洞察する奥深い内容になっている。

(西洋中心のラインナップだが、まあそれは仕方ない) 

 

 ビールからは、

メソポタミア等の古代文明の黎明期を。

 

ワインからは、

ギリシャからローマに受け継がれる高レベルの文化を。

 

蒸留酒からは、

アラビアの錬金術から大航海時代奴隷貿易までの流れを。

 

コーヒーからは、

明晰な頭脳から生まれた啓蒙思想を。

 

紅茶からは、

大英帝国の主導で進む産業革命と世界規模の貿易のはじまりを。

 

コーラからは、

アメリカから広がる資本主義の大発展を。

 

これ一冊読むだけで、人類の歴史が立体的に理解できる。

すごい本だ。

 

例えば、ビール。

ビールは、人類が農耕を始めたのとほとんど同じ時期に生まれた。

小麦などの穀物をスープにしたもの(おかゆ)が、

自然に発酵し人間が飲み始めたと言われている。

小麦からパンだけではなく、ビールも作るようになった。

ビールは水より腐りにくくビタミンも多く含まれていたので、

パンの栄養を補う飲み物として重宝された。

 

古代人は大きな陶器に入ったビールを共有し、

アシでできたストローを使ってみんなでチューチューと飲んでいた。

アルコールのおかげで気分が良くなる。

みんなが仲良くなる。

人々はメソポタミアやエジプトで都市生活をするようになり、

大勢でビールを飲むようになる。

古代文明が幕を開ける。

 

ビールはお金の代わりにもなった。

シュメールの神殿やエジプトのピラミッドを作るために

集められた労働者への給料はパンとビールだった。

納税や配給の記録としての文字が発達する。

古代の巨大建造物を作った人々は、

仕事終わりにみんなでビールを飲んで一日の疲れを癒していた。

 

「仕事終わりに、とりあえずビール!みんなで乾杯!」

という我々のイメージ。

実は古代からずっと受け継がれてきたものだったのだ!

 

メソポタミアから現代にいたるまで、

さまざまな人がビールを進化させ、

膨大な数の人々が飲んできた。

スーパーの特売品として売られる1缶190円のビールも、

数千年の歴史を背負っている。

 

どんな安物のビールでも、

古代ピラミッド職人と肩を並べて飲んでいることを想像すれば、

極上の味になる。

 

 

「完全に管理された〇〇の畑で、一つずつ手でつまれた果実をもとに

 ヨーロッパで賞をとった熟練の職人が真心を込めて・・・」

というストーリーを聞かされると、おいしく感じる。

これが「ブランディング」の力だ。

我々が高級ワインを買うとき、ストーリーに対して何万円も払っている。

 

でも、ストーリーは買わなくてもよい。

本を読んで、自分で語れば良いのだ。

古代から連綿と続くストーリーほど味わい深いものはない。

 

私は20万円のワインより、

190円のビールの方を美味しく飲むことができる。

(高級ワインも好きだけど)

 

飲み物を楽しむためには、歴史を学べば良いのだ。

 

飲まない人のために

内容がお酒に偏ってしまったが、

上記の本はコーヒー、紅茶、コーラについても深い知識を与えてくれる。

ぜひ読んでみてほしい。

 

飲まない人のために、もう1冊紹介しておこう。

 『ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!』

 

 

お酒を飲まない人でも、

肩身の狭い思いをしない世の中がもうすぐやってくる!

そう思わせてくれる素敵な本だった。

 

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秋は食事と飲み物を楽しみながら、本を読もう!

 

 

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風雲急を告げる著作権法

著作権法改正の機運が急速に高まっている。

 

テレビ局がテレビ番組をネット配信しやすくするための法改正だ。

 

以前の記事で私は以下のようなことを書いていた。

 

・テレビ局が番組を制作するにあたっては、

 色んなものの許可を取らないといけない。

 「放送」だけではなく「ネット配信」の許可を取るのは、

 かなりの負担になる。

 

・テレビ局は著作権法を改正して

 「同時配信等」を放送と同じように扱うことを求めていた。

 テレビ局は深く考えずに取り合えず要望を出している状況。

 

・それに対して文化庁は乗り気ではなかった。

 どうせしょぼい結果に終わるのは目に見えていたから。

 

・大きな改正にはつながらないだろう。

 

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しかし、状況が大きく変わってきた。

私の予想が外れそうな気配だ。

 

河野大臣の登場!

なぜ状況が動いたのか?

その理由は、ご存じ河野太郎行政改革担当大臣の登場だ。

 

大臣が文化庁に対して「やる気がないなら担当部署を変える」と

言い放ち、何が何でも進めるぞ!という決意を示したのだ。

 

●ネット同時配信の著作権手続き緩和 文化庁が一転容認方針 3年の議論決着へ

https://mainichi.jp/articles/20201006/k00/00m/010/327000c

 

(河野大臣には文化庁が悪者に見えていたようだが、

 文化庁が悪いわけじゃない。

 本来は要望を出していたテレビ局が知恵をしぼって改正案を示し、

 汗をかいて関係者を説得すべきだった。

 でも、その役割が文化庁に回ってきてしまっている)

 

大臣に叱られてしまった文化庁は、

かなり思い切った改正案を示した。

それが「推定規定」だ。

 

推定

推定規定とはどんなものか?

「放送の許可をした人は同時配信の許可もしたのだろうと推定する」

ということだ。

 

例えばテレビ局のADが写真家から写真を借りるとき。

「この写真を放送に使わせてください」

「いいですよ。放送使用料は1万円です」

「わかりました!」

という会話があったとする。

 

この場合、写真家はネットで配信(同時配信)することも含めて

許可を出したのだろうな・・・と推定される。

会話の中で一度も「配信」という言葉が出てきていないのに!

 

もし写真家が「配信は嫌だ」とか、

「配信するなら追加で2000円」とか考えているなら、

自分の方からはっきりとそう言わないといけない。

 

今までは逆だった。

配信したいのならテレビ局の方からはっきりと

「配信もします。いいですか?」と聞いてOKを得ないといけなかった。

そうしない限り、配信OKということにはならなかった。

写真家の方も聞かれるからこそ、

配信はどうしようかな?追加料金とろうかな?と考えることができた。

 

この関係が逆転するのだ。

これは大きな変化になる。

 

零細権利者の不遇

文化庁の提案通りに物事がすんなりと進むかどうかは、

まだ分からないが、

もし「推定規定」が成立した時のことについて、

考えられることを2点指摘しておこう。

 

ひとつ目は、零細な権利者が不利益を受けるということだ。

 

例えばJASRACのような巨大権利者集団。

例えば大手芸能事務所に所属するようなアーティスト。

彼らは法改正があっても迅速に対応できる。

 

「テレビ局から「放送してもいいですか?」と聞かれたら、

 「配信については別ですよ」と返事するようにしましょう。

 そうすれば自分の利益を守れます」

と組織内で教育されることになる。

今まで通り、放送と配信それぞれ別の料金を請求する。

実務上、大きな変化は起きない。

 

一方で法改正の情報について接する機会の少ない零細な権利者は、

何も知らないままに、配信の権利を持っていかれてしまう。

放送しか許可してないのに、勝手に配信までされてしまう。

 

大手チェーンのマクドナルドでは、店員の教育を徹底し

ハンバーガーとシェイクは別商品です。

 それぞれ別に料金を払ってください」

と言わせることで利益を確保できる。

しかし、小さな個人経営のハンバーガー屋ではそんな対応をとれない。

ハンバーガーを買った客が無断でシェイクを持っていっても、

文句が言えなくなるのだ。

 

生番組の危機

ふたつ目の点は実務上の影響がさらに大きい。

生放送の番組がテレビ局の許可なく勝手に使われやすくなるのだ。

 

この点を細かく書くと長くて専門的な話になるので、

ごく簡単にまとめる。

 

以前の記事に書いた通り、テレビ局が番組を作って放送するとき、

3層構造で権利が働く。

 

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しかし生放送の番組、例えばスポーツ中継番組の場合、

第1階層と第2階層の権利がないことが多い。

(色んな議論があるが一般的にはそう言われている)

そうなると頼りになるのは第3階層の権利だ。

これが「放送事業者の著作隣接権」と言われるものだ。

 

サッカーの生放送をどこかの商売人が超巨大ビジョンに映し出し、

「みんなでビールを飲みながら観戦しよう」

と言って入場料をとったらどうなるか?

放送局は「放送事業者の著作隣接権」を使って、

「やめてください」と言うことができた。

だからこそ、

サッカーの主催団体も安心してテレビ局に中継を許可することができた。

 

しかしネット配信については、そのような権利はない。

ネットからとった映像を超巨大ビジョンに映し出されても、

テレビ局は文句が言えない。

 

もし当初のテレビ局の要望通りに

「放送と配信を同じ扱いにする」という案が通っていたなら、

同時配信についても「放送事業者の著作隣接権」が働き、

大きな問題は起きなかっただろう。

 

しかし今回導入される「推定規定」では、

そのような権利はおそらくテレビ局に与えられない。

テレビ局が流す配信について、人に勝手に利用されても文句が言えなくなる。

 

そうなると、

スポーツの競技団体は安心してテレビ局に中継を許可できなくなる。

アーティスト等は安心して生番組に出演しづらくなる。

 

そんな事情で、

生番組が継続しにくくなるかもしれない。

 

今後「ミュージックステーション」に

魅力的なアーティストが出演しなくなったとしたら、

今回の法改正が原因かもしれないのだ。

 

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風雲急を告げる著作権法だが、まだまだ先は読めない。

今後の動きに注目だ。

 

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スタジオジブリが作品を無償提供!! タダより安いものはない?

スタジオジブリ

千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」などの

画像を無償で提供し始めた。

使用条件は一つだけ。

「常識の範囲でご自由にお使いください。」

 

●今月から、スタジオジブリ作品の場面写真の提供を開始します

http://www.ghibli.jp/info/013344/

 

ファンたちは

「画期的なことだ!」

「ついにやってくれた!」

と大喜びだ。

 

これ、素直に賞賛していいのだろうか?

 

ブラックジャックによろしく

過去にも「どうぞご自由にお使いください」と言った権利者はいた。

 

2012年、漫画家の佐藤秀峰氏は自身の作品である

ブラックジャックによろしく」の

二次利用をフリーにすると宣言した。

 

同時に利用規約も公開しているが、

ほぼ全ての利用についてフリー化している。

ネットにのせるのも、パロディにするのも、映像化するもの、

商用利用も何でもありだ。

ただし、

タイトルや作者の名前はしっかり表示するという条件が付いている。

 

これにより、「死にコンテンツ」となっていた同作品から

再び大きな収入を得ることができたという。

 

●「ブラックジャックによろしく」が2次利用フリーに 商用・非商用問わず自由に利用可能

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1208/20/news098.html

 

●「ブラックジャックによろしく二次利用フリー化1年後報告 前編

https://note.com/shuho_sato/n/na1c3e7c1aa60

 

 

くまモン

熊本のゆるキャラ「くまもん」も無償利用できる。

利用にあたっては事前の申請が必要で、

熊本県や県産品のPRになると認められた場合にかぎり、

OKということになっている。

 

熊本県の税収はくまモン効果の恩恵を受けている。

 

くまモンとサプライズロゴで熊本を盛り上げよう!

https://kumamon-official.jp/kiji0031655/index.html

 

 

GLAY

ロックバンドのGLAYはブライダル利用に限り、

楽曲の著作隣接権の利用料を無償とした。

 

無償にしても必ずしもGLAYのフトコロは痛まないし、

逆に著作権でしっかり儲けが出る仕組みになっていることは、

以前解説した通りだ。

 

●ブライダルでのGLAY楽曲の使用に関して

https://www.glay.co.jp/news/detail.php?id=2633

 

GLAYは「かっこいいアニキ」なのか問題を解決する

https://www.money-copyright-love.com/entry/2018/09/25/091631

 

 

任天堂

任天堂は、ゲーム動画(実況を含む)をYouTube等に上げることについて、

権利主張しないと宣言した。

 

同時にかなり詳細なQ&Aを公開し、

「この場合はOK、この場合はNG」を分かりやすく示している。

収益化についても条件つきで認めている。

 

これにより、自社のゲームのプロモーションを狙っているのだろう。

 

●ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン

https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html

 

 

それぞれの権利者が彼らなりのマーケティング戦略の中で、

無償提供を行っている。

マクドナルドの「スマイル0円」と同じだ。

 スマイルはダダでも、ビッグマックはタダではない)

 

多くの権利者が、作品とファンとの新しい関係づくりのために

工夫をこらし、知恵を絞っているのだ。

 

丸投げ

そこへ、今回のジブリの宣言である。

 

みんなが知恵を絞って利用条件を考えている中で、

ジブリはこう言い放った。

「常識の範囲でご自由にお使いください。」

 

・・・丸投げかよ!!

 

本当の意味での「丸投げ」なら、それはそれで凄い覚悟だ。

でも、おそらくそうではない。

 

「常識の範囲」というが、誰の「常識」なのだろう?

ファンそれぞれの常識?

商売利用したい人の常識?

ジブリの常識?

世間の常識?

念のため言っておくと、世間の常識なんてものはアテにならない。

多くの法的トラブルは、

「このぐらいは常識の範囲だろう」という

各人の常識が食い違うことから生まれている。

 

もしBL(ボーイズラブ)の同人誌の愛好家が、

自分の「常識」に照らしてジブリのキャラクター同士を

〇〇させたら・・・

それが大ヒットして大儲けしてしまったら・・

おそらくジブリは「それも常識の範囲です!OK!」とは言ってくれない。

法的リスクを負うのは、愛好家自身だ。

 

あなたの会社にもいないだろうか?

「君にすべて任せる!」と言っておきながら、

失敗すると「ほらみろ、私の言うとおりにやらないからだ!」と

説教する上司が・・・。

 

 

作品とファンとの新しい関係づくりのプロセスの中で、

色んな試みがあることは良いことだ。

だから、今回のジブリの試みも、悪いことではない。

でも、ファンに「考える仕事」と「リスク」を丸投げするやり方を、

私は好きになれない。

 

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お疲れさまでした。

安倍晋三氏が総理大臣のバトンを次の人に引き継いだ。

 

安倍総理といえば、

「ダウンロード違法化」にストップをかけたことが思い出される。

 

それまで、ごく一部の人をのぞき、

著作権法に大きな関心のある政治家はいなかった。

官僚がまとめた著作権法の改正案は、

ほとんどの場合そのまますんなりと通っていた。

TPPでアメリカと色んな分野について交渉しているときも、

著作権の分野が真っ先に譲歩させられた。

アメリカの要求に屈せず体を張って著作権法改正を阻止しよう!

というような人はいなかった。

著作権は政治家の関心の中心ではなかった。

 

しかし、画期的なことが起きた。

 

違法な漫画サイトが注目を集めたことをきっかけに、

「ダウンロード違法化」という法改正が行われることになっていた。

しかし、その内容は厳しすぎた。

「これじゃ、安心してネットが使えなくなる!」

批判の声が大きくなっていたときに、

「鶴の一声」を発して法改正を止めたのが、

安倍首相だったと言われている。

 

●なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ

https://www.sankei.com/affairs/news/190308/afr1903080003-n1.html

 

官僚が進めていた著作権法の改正を政治家が止めるなんてことは、

私の知る限りでは、初めてのことだ。

これを機に、著作権法が「みんなの関心事」に引き上げられた。

 

歴史に残る決断だったと言えるだろう。

 

安倍晋三様、難病と闘いながらの激務、お疲れさまでした。

 

 

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その武器は、正しい武器ですか?

コロナのせいか、イライラしている人が多いようだ。

ワイドショーで、SNSで、デモで、

誰かが誰かを批判している。

 

あなたが心を込めて作った小説、音楽、漫画などの作品が、

誰かに批判された場合について考えてみよう。

 

「この表現が稚拙だ。下手くそだ」

「この部分とこの部分がチグハグだ」

「作者の言ってることは間違っている」

「作者の人間への理解が足りない」

 

当然あなたは嫌な気持ちになる。

 

この批判にはの中には、あなたの作品がコピペで使われていた。

そこであなたは思いつく。

「これは著作権侵害なんじゃないか?

 訴えれば勝てるんじゃないか?」

 

あなたは著作権侵害で相手を訴えるべきだろうか?

 

心の整理

著作権という相手をやっつけるための「武器」に飛びつく前に、

まずは自分の心に問いかけてみよう。

 

自分はなぜ嫌な気持ちになったのか?

自分はどうしたいのか?

 

批判が的外れだから悔しいのか?

批判が当たっているから悔しいのか?

 

批判の内容とは関係なく、言葉遣いが失礼だから腹が立つのか?

批判が度を越していて、誹謗中傷になっているから嫌なのか?

作品ではなく自分の人格を否定されたのが悲しいのか?

 

自分の作品にタダ乗りされている気がして不愉快なのか?

 

これ以上の批判をやめてほしいのか?

これまでの批判を取り下げて誰にも目につかないように

してほしいのか?

 

相手に謝ってほしいのか?

相手からお金がほしいのか?

 

心の中で渦巻くモヤモヤした思いを整理しよう。

 

著作権という武器

上記の色んな気持ちの中で

著作権という武器が有効になる可能性が高いのは以下の場合だ。

 

「自分の作品にタダ乗りされている気がする。

 これ以上のタダ乗りをストップさせたい。

 今までの分はお金を払ってほしい」

 

著作権はもともと小説などを許可なく勝手に使われるのを防ぐことで、

作者が経済的に損しないように作られた権利だ。

 

だから、いわゆる「海賊版」対策に有効だ。

 

見た目は批判しているような体裁をとっているけど、

実質的には作品にタダ乗りしているだけのものも、

「隠れ海賊版」だと言えるだろう。

(「村上春樹作品を批判する!」という本だが、

 批判する文章は少しだけで、

 あとは村上作品がまるまる掲載されているようなもの)

 

逆に言うと、上記のようなケースでなければ、

著作権は役に立たないことが多い。

 

「批判が間違っていたと認めさせたい!」

「謝ってほしい!」

いくらそう思っても、著作権は「筋違い」の武器になってしまう。

 筋違いの武器では、勝てないことが多い。

(例:「脱ゴーマニズム宣言」事件)

 

批判に対しては、堂々と反論するのが一番の反撃になる。

あまりにもひどい人格攻撃の場合は、発信者の情報を開示させるなど、

いくつかの対策メニューがある。

弁護士さんに相談しよう。

著作権に頼らない方が良い場合も多い。

 

覚えおこう。

 

 

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著作権法の穴は埋まったのか?

今回は、1年ほど前に書いた記事の続きだ。

以前テーマにした「著作権制度の欠陥」について、

もうすぐ大きなルール改正がある。

その内容を簡単に説明しておこう。

 

著作権制度の欠陥

以前の記事で、著作権に関する「契約」をテーマにしたことがある。

その中で、以下のようなケースについて書いた。

 

・クリエイターが作品をつくる。

・クリエイターと企業Aがライセンス契約をむすぶ。

 (許諾契約)

・企業Aは作品を使って稼ぐ。

・とろが、クリエイターが作品の著作権を企業Bに売ってしまう。

 (譲渡契約)

・新しく権利者になった企業Bは企業Aに

 「あたなには使わせません」と言う。

・企業Aは作品を使えなくなり困ってしまう。

 (許諾契約より譲渡契約の方が強い)

 

今の著作権の制度では、実際にこんなことが起きてしまう。

(「子連れ狼」事件)

作品を活用するために投資したお金がムダになってしまう。

こんなことなら、

誰も本気で作品のライセンス契約に大金を支払おうとは思わなくなる。

これは「著作権制度の欠陥だ」と言う人もいる。

 

そんな話を書いた。

 

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ルールの改正

しかし、法改正が実現した。(施行は今年の10月1日から)

上記のケースでいうと、

企業Aは今後も安心して作品を使い続けることができる。

 

しかし、実際には安心とは言えない部分も残っている。

それはどういうケースなのか?

 

記憶に残しやすいように、

今回も具体的な事例で考えておこう。

 

人気ゲーム!

珍天堂はゲームメーカーだ。

新作ゲームを次々と開発し発表している。

今一番稼いでいるゲームは、

人気漫画「ワンピーク」のアクションゲームだ。

「ワンピーク」を書いている漫画家の小田誠一郎と契約をむすび、

独占ライセンスを得て開発した。

 

珍天堂のライバルメーカーであるゼガも、

「ワンピーク」のゲームを作りたがっているが、

珍天堂が独占ライセンスをもっているので手が出せない。

 

ほんとうは小田誠一郎は

「色んなメーカーにライセンスして、色んなゲームを作ってほしい」

と言っていた。

しかし珍天堂はどうしても「独占」が欲しかった。

そこで、相場の3倍のライセンス料を支払い、

「珍天堂以外にはライセンスしない」という条件を勝ち取ったのだ。

 

「ワンピーク」のゲームは売れに売れている。

続編の開発も順調だ。

珍天堂は「ワンピーク」とともに、ますます発展していくだろう・・!

 

そこへ、一本の電話が。

ライバルのゼガからだ。

「もしもし、ゼガです。

 小田誠一郎さんから当社へ「ワンピーク」の著作権は譲渡されました。

 著作権は我々のものです。

 つきましては、珍天堂にはライセンスしません。

 今後あなた方は「ワンピーク」を使うことは一切できません」

 

なんということだ・・!

まさかこんなことになるとは・・・!

 

この場合、基本的に珍天堂にはなす術がない。

小田誠一郎に損害賠償を請求をすることぐらいは出来るだろうが、

「ワンピーク」を使うことは出来なくなってしまう。

これが、今までの制度だった。

 

しかし、これからは違う。

珍天堂はゼガにこう言い返すことができる。

「そんなことはありません。

 著作権法は改正されました。

 当然対抗制度というものがあるんです。

 我々は、今後も「ワンピーク」を使い続けることができます!」

ゼガも諦めるしかない。

こうして珍天堂の利益は保護された。

めでたし。めでたし。

 

これが、今回の法改正の目的だ。

 

しかし、この話にはもう少しだけ先がある。

 

作品の著作権を手にしたゼガが、

自社で「ワンピーク」のゲームを開発して発売したのだ!

先行する珍天堂のゲームを研究したうえで作られているので、

クオリティは高い。

珍天堂は、急に過酷な競争にさらされることになった。

 

今回の法改正でも、この事態を防ぐことはできない。

あくまでも「今まで通り「ワンピーク」を使えますよ」という点は

保護されるが、

「今まで通り独占ですよ」という点までは保護してもらえないのだ。

(この点については政府の中で「今後の検討課題」とされている)

 

しかし、そうなると珍天堂としては納得がいかない。

独占だったからこそ、普通の3倍ものライセンス料を支払っているのだ。

せめて今後はもっと安い料金にしてほしい。

そこで新たな権利者となったゼガと交渉することにした。

「ライセンス料は3分の1にしてください」

しかしゼガはこう返答してきた。

「契約条件は小田誠一郎さんからそのまま引き継ぎましたので、

 そのままの条件でお支払いください」

 

かなり無茶なゼガの主張だが、政府の検討会でも、

もとの契約条件がどの程度まで

新しい権利者に引き継がれるのかについては、結論がでていない。

ゼガの言っていることがそのまま通ることはないと思うが、

最終的には裁判ではっきりさせるしかなさそうだ。

また、何らかの理由でゼガが

「権利者が変わったから、もっと払え!」

と言ってくる可能性もある。

このようなケースについて文化庁のQ&Aには以下のように書いてある。

 

利用者(ライセンシー)が当初許諾された利用方法及び利用条件の範囲内で,利用を継続することができ・・(中略)・・追加の支払を求められたりすることがなくなり,安心してビジネスを行うことができる環境の整備に資するものと考えています。

 

●令和2年通常国会 著作権法改正について

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/

 

これを読む限りでは、料金アップはないことになっているが、

もとの契約条件がどの程度引き継がれるかはっきりしない以上は、

追加支払いが絶対にないとまでは言い切れないと思う。

 

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というわけで、ライセンス契約について、

今までよりは随分と安心感が増えたのは事実だ。

しかし、完全に安心できるとまでは言えない。

 

今後、ビジネスの場でライセンスを受ける立場になったときに

このことを思い出そう。

 

 

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