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テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(1)

政府の「規制改革推進会議」という場で、

テレビ局(東京キー局とNHK)と文化庁

著作権法の改正をめぐって激しくぶつかっている。

そこへ推進会議側や政治家も参戦し、大混戦になってきた。

 

もしテレビ局の主張が通れば、著作権の大変革となる。

 

今回はその議論の様子を紹介しよう。

 

議論の大まかな前提

日本は成長性が低い!

新しい産業が生まれていない!

ムダな規制が多すぎるせいだ!

 

何十年も前から言われていることだが、

規制緩和はなかなか進まない。

 

行政、金融、医療、教育・・・・など様々な分野の規制を

取り払うために政府が作ったのが

「規制改革推進会議」(以下「推進会議」)だ。

 

推進会議が全国農業協同組合連合会(全農)の改革を訴え、

小泉進次郎氏が対応したことでも話題になった。

 

経済成長のための組織なので

推進会議のメンバーは経済界の重鎮が多い。

 

そんな経済重視の目線から見ると、

「古臭い規制」にしか見えないのが「著作権」だ。

 

「なぜネットで流されるテレビ番組が少ないんだ?

 ネット上のテレビ番組は、なぜ“フタかぶせ”が多いんだ?

 (「フタかぶせ」とは権利の問題等で番組内の素材が使えないから

  画面上は真っ青の画面になってしまうような状況のこと)

 なぜ音楽の差し替えが多いんだ?

 なぜなんだ!?」

「それは、著作権のせいです!

 著作権法では放送とネットが別物扱いになってるからです!」

「なに!?それはけしからん!

 今やインターネットの時代だぞ!

 視聴者にとっては放送もネットも同じなのに。

 そんな時代遅れの規制は改革してしまえ!!」

 

かなり乱暴にまとめたが、

こんな議論の流れで、著作権が推進会議の標的になった。

 

議論の応酬

議論が激しくなったのは、「第18回投資等ワーキング・グループ」だ。

 

●第18回 投資等ワーキング・グループ 議事次第

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/toushi/20200609/agenda.html

 

少しだけ私の“意訳”も加えつつ大まかにまとめると、

以下のような言葉の応酬が繰り広げられたという。

 

文化庁はこう言った。

「これまで関係者間で議論を重ねてきました。

 そこで問題点として浮上したのが

 「レコード実演・レコードのアウトサイダー」の問題です。

 これを解決するために「補償金付き権利制限」で対応します」

 

これに対してテレビ局が反発。

「いやいや文化庁さん!

 「関係者で議論を重ねた」って言うけど、

 我々はその案に賛成した覚えはないですよ。

 問題はそんな小さな話じゃないです!

 我々が求めているのは、

 「同時配信等」を「放送」と同じ扱いにすることです!」

 

そこへ推進会議側から応援が入る。

文化庁はなぜテレビ局から賛成してもらえないような提案を

 出してくるんだ?

 世の中のニーズをちゃんと理解すべきじゃないのか?」

 

これに文化庁が反発。

「ニーズも大事だが、権利者も大事。

 こういう話は丁寧に進めるべきです」

 

そこへ推進会議側が

「我々は丁寧にやっていないと言いたいのか!」

とかみつく。

 

テレビ局は重ねて

「海外でも同時配信は放送と同じ扱いです。

 なぜダメなんですか?」

と訴える。

 

しかし文化庁

「改正する理由がない」

と突っぱねる。

 

議論は平行線となり、推進会議側が

「テレビ局がこういう場であからさまに異議をとなえる状況については、

 重く受け止めるべきではないか」

文化庁を諭す場面もあったらしい。

 

 

著作権法制度の中身を理解していなくても、

言葉の応酬をみているだけで“熱さ”が伝わってくる。

 

放送とネットを巡る議論について、

ちゃんと理解できていれば、かなりの著作権上級者だ。

複雑な話なのだが、次回はできるだけ分かりやすく解説したい。

 

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