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アリータ!スパイダーマン!ドラえもん! 最新キャラクター映画から貰ったもの

先週は「ダウンロード違法化」の法改正が行われつつある状況を解説した。

このまま進んでしまうのか・・・と思われていたが、

自民党でストップがかかったようだ。

 

●ダウンロード違法化拡大、自民総務会が了承先送り

https://www.asahi.com/articles/ASM314VP6M31UTFK012.html

 

●「賛成意見を水増し」DL違法化、専門家が文化庁を批判

https://www.asahi.com/articles/ASM3351BKM33UCVL007.html

 

世間で反対の声が上がっていることに対して、政治家が反応した結果だ。

日本の民主主義は、まだ機能しているらしい。

 

とはいえ、この先どういう流れになるかは分からない。

引き続き注目していきたい。

 

注目映画3本

このブログの筆者としては見逃せない映画が上映中だ。

しかも3本同時に。

 

スパイダーマン:スパイダーバース』

アリータ:バトル・エンジェル

『映画ドラえもん のび太の月面探査記』

 

週末を使って3本全てを見ることができた。

新たな気づきもあったので報告しようと思う。

 

スパイダーマン:スパイダーバース』

まずは1本目。

スパイダーマン:スパイダーバース』。

おなじみのアメコミ・ヒーローが活躍するCGアニメーション映画だ。

 

●映画『スパイダーマン:スパイダーバース』オフィシャルサイト

www.spider-verse.jp

 

これまでのスパイダーマンといえば、

白人の高校生ピーター・パーカーが

クモの特殊能力を手に入れたことをきっかけに

ヒーローとして成長していく物語だった。

 

ところが今回のスパイダーマンの主人公は、

黒人の少年、マイルス・モラレスだ。

新しい学校になじめず自分に自信を持てないマイルスが、

クモの特殊能力を手に入れ、

少しずつヒーローとして目覚めていく・・というお話になっている。

 

この映画、映画会社が黒人の観客を取り込むために

白人の主人公を黒人に置き換えました。という安易なものではない。

もっと複雑で重層的な構造の映画だ。

 

我々の住んでいる世界とは別の次元に別世界があり、

それぞれの世界にそれぞれのスパイダーマンがいる。という設定。

つまり、スパイダーマンが何人も出てくるのだ。

 

黒人のスパイダーマン

白人のスパイダーマン

女性(白人)のスパイダーマン

日本人だってスパイダーマンとして登場する。

(他にも、〇〇や〇〇のスパイダーマンが・・!!

 劇場で確かめてほしい)

 

こんなにもバラエティ豊かなスパイダーマンたちが協力して悪と戦うのだ。

盛り上がらないわけがない!

 

コミックがそのまま動き出したような独特の映像も新鮮だし、

音楽も要所要所でキッチリとテンションを高めてくれる。 

 

自信の無かった主人公マイルスが、悩みを吹っ切り、

真のスパイダーマンとして覚醒するクライマックスは

爽やかで、熱い。

 

大人が観ても十分に感動できる。

 

すでに沢山の映画賞を受賞していたが、つい先日、

アカデミー賞の長編アニメ賞まで受賞してしまった。

(日本からノミネートされていた『未来のミライ』は、この映画に敗北)

いわゆる❝上質な❞映画が好まれることの多いアカデミー賞の舞台で、

スパイダーマン」のような❝俗っぽい❞映画が受賞するなんて異例のことだ。

それほど完成度が高いということになる。

 

まだ観ていない人は、

急いで観に行った方が良いだろう。

 

マスクの力

私がこの作品に注目していたのは、アカデミー賞をとったからではない。

 

以前このブログで、

アメコミヒーローと日本のマンガヒーローの違いについて分析したことがある。

 

www.money-copyright-love.com

 

この連載の中で以下のようなことを書いていた。

アメリカのヒーローはマスクをかぶっていることが多い。

・マスクをかぶれば、アメリカ人でもインド人でもそのヒーローになれる。

 

スパイダーマン:スパイダーバース』は、

まさに上記マスクヒーローのメリットを証明する映画となっている。

私が映画を観に行ったのは、そのことを確かめたかったからだ。

 

白人のスパイダーマンに慣れ親しんだ私にとって、

黒人のマイルスが登場するシーンでは、

「え?この子がスパイダーマンに??」

という違和感は少なからずあった。

 

しかし物語が進み、試練を乗り越えた彼がマスクをかぶるクライマックスでは、

まぎれもなく「本物のスパイダーマン」がそこにいた。

最初の違和感は吹き飛んだ。

 

黒人の少年だけではない。

女性だってマスクをかぶり、本物のスパイダーマンとして

違和感なく大活躍している。

 

素顔をマスクでおおうことで、どんな人種の人でもスパイダーマンになれる。

 

この映画はCGアニメだが、実写化しても十分に通用するだろう。

 

マスクの力は、やはり偉大だった。

マスクは人種、そして性別の壁も越える。

 

この映画の最後のセリフに、その全てが表現されていた。

 

「誰もがマスクをかぶることができる。

 そう、君もね!」

 

日本のマンガヒーローは?

一方で日本のマンガヒーローは、マスクをかぶらないことが多い。

ほとんどが素顔だ。

人種の壁を越えにくい。

 

ONE PIECE』のルフィが複数登場し、

それぞれが東洋人、黒人、白人、女性・・・だったりするシーンは想像しづらい。

アニメ映画ならギリギリ成立しそうな気もするが、

実写映画にすると、致命的に「変な感じ」になってしまう。

 

その違和感を逆手に取った演出で

物珍しいシーンを撮ることは出来るかもしれないが、

スパイダーマン:スパイダーバース』のような、

チームの一体感を感じさせるものにはならないだろう。

 

やはり日本のヒーローマンガは、実写化に向いていないのか・・。

 

ルフィや孫悟空

もっともっと世界的な規模で活躍してほしい私としては、

アメリカの傑作アニメを素直に楽しむことは出来なかった。

 

アリータ:バトル・エンジェル

映画をみて勝手に落ち込んでいた私に希望を与えてくれたのが、

2本目の映画『アリータ:バトル・エンジェル』だ。

 

●映画『アリータ:バトル・エンジェル』オフィシャルサイト

www.foxmovies-jp.com

 

この映画の原作は、日本のSFマンガ『銃夢(ガンム)』。

荒廃した未来の世界で悪と戦いながら

たくましく生き抜く女性サイボーグのガリィが主人公のお話だ。

(体は機械だが、脳は人間の少女)

 

このマンガに、

ハリウッド映画の巨人ジェームズ・キャメロン氏が目を付けた。

アバター』などの制作を挟みながらも、

10年以上の歳月をかけて映画を完成させたのだ。

 

北米や中国を中心に世界的なヒットとなっている。

日本マンガ原作としては史上最高の興収を記録する模様だ。

 

●北米映画興行収入=「アリータ:バトル・エンジェル」が初登場首位

https://jp.reuters.com/article/usa-boxoffice-idJPKCN1Q7048

 

●「アリータ:バトル・エンジェル」中国で公開 3日で北米超える興行収入

http://j.people.com.cn/n3/2019/0225/c206603-9549664.html

 

「日本発のマンガヒーロー(ヒロイン)もやるじゃないか!」

ということで、前日に原作マンガを読み込み、

「予習」を済ませた上で観に行ってきた。

 

そして、観おわったときの感想としては、

「この手があったか!」

というものだった。

 

テコリンの壁

上にあげた連載の中で、「テコリンの壁」というものを解説したことがある。

 

「マンガだと格好よかったのに、

 実写にすると何だかヘンテコリンになってしまう」

という問題のことだ。

 

実写にしてしまうと、

スーパーマンが派手な全身タイツを着た変なおじさんになってしまう。

峰不二子峰不二子に見えず、女優本人に見えてしまう。

これが、テコリンの壁だ。

 

テコリンの壁は2つの要素に分解できる。

 

第1の壁:原作とのギャップ

原作マンガ・アニメを知っている人にとっては、

原作のイメージと、生身の役者が演じる登場人物との間に違和感が生まれてしまう。

 

第2の壁:周囲とのギャップ

マンガキャラの衣装や髪形は、派手で現実離れしていることが多い。

しかし実写映画では、我々の暮らす現実の世界に

そんな派手なキャラが登場する。

つまり、周囲は現実感・生活感があるが、そこにいる人物だけが浮世離れしている。

(家族連れでにぎわうショッピングモールに、

 ビジュアル系バンドの人が歩いているのを発見したときの感覚に近い)

周囲の人、景色からキャラだけが浮いてしまう。

 

第1の壁は「原作とのギャップ」。

第2の壁は「周囲とのギャップ」。

ということになる。

 

マンガの実写化がなぜ失敗したかについては、

この「テコリンの壁理論」に当てはめれば、だいたいうまく説明できる。

(「ストーリーが面白くない」という論点は別)

 

スーパーマン(特に昔のスーパーマン)は、

原作とのギャップ、周囲とのギャップの両方を埋められていない。

峰不二子(女優の黒木メイサ氏が演じたもの)が失敗だったのは、

原作とのギャップが大きかったからだ。

 

アメコミヒーローの場合、第1の壁はそんなに高くない。

多くの場合、マスクがあるからだ。

どんな役者でも、マスクをかぶれば顔が見えなくなる。

画面に映るのは役者の顔ではなく、マスクヒーローの顔だ。

原作との違和感はなくなる。

第2の壁をどう越えるか?に集中すれば良い。

(1989年のティム・バートン監督の『バットマン』では

 美術に徹底的に力を入れ、背景の全てをマンガのような世界にしてしまうことで、

 「周囲とのギャップ」を埋めてしまっている)

 

一方で日本のマンガヒーローの場合、

「原作とのギャップ」「周囲とのギャップ」、2つの大きな壁が立ちはだかる。

ドラゴンボール』の実写化映画『DRAGONBALL EVOLUTION』は

この両方の壁を越えられずに失敗した。

 

そして『銃夢(ガンム)』である。

ガリィ(アリータ)の顔は「素顔」だ。

マスクをかぶっていない。

 サイボーグとはいえ、人間の女の子の顔だ。

 

「テコリンの壁理論」を

アリータ:バトル・エンジェル』に当てはめて考えると、どうなるだろう?

 

アリータとテコリンの壁

上映が終わり映画館から出ていく道すがら、

アリータとテコリンの壁について色々と考えてみた。

 

この理論をこの映画に当てはめると・・・

 

不思議なことに、これが何とも当てはめにくいのだ!

 

 

私が見た限りでは「原作とのギャップ」はほとんど感じなかった。

原作マンガのイメージをしっかりと持っていた私は、

実写のアリータ(本当はCG)をみて、最初は違和感を感じた。

「こんなのガリィじゃない!」と言いたくなった。

 

でもそれは最初だけだった。

アリータが走り、笑い、戦い、恋に落ちる様子を見ているうちに

ガリィの本質をつかんでる!

 そうだよ!実写のガリィはこんな感じだよ!」

という気持ちになっていく。

ガリィとアリータの間にあったギャップが消えていく。

しまいには、アリータに恋してしまいそうになったぐらいだ。

 

 

でもこれって「原作とのギャップ」を越えていると言えるんだろうか?

アリータは、実写のように見えるとはいえ、CGなのだ。

生身の役者が演じているわけではない。

「原作マンガのキャラと生身の役者とのギャップ」という問題が、

もともと存在していない。

 

「周囲とのギャップ」にしてもそうだ。

背景は実写とCGが合わさったものだし、

アリータの周りにいる登場人物は、生身の役者とCGキャラが入り乱れている。

見せ場だけでCGを使っていた昔のSF映画と違い、

この映画では全編にわたって実写とCGが融合している。

「現実離れしたキャラと現実世界の景色とのギャップ」という問題も、

あって無いようなものだ。

 

そもそも、この映画を「実写映画です!」と

言い切ってしまって良いかどうかも分からない。

 

テコリンの壁は、越える必要が無くなっていた。

壁そのものが消えていたのだ!

 

CG技術の進歩によって、実写映画とアニメ映画の区別がつかなくなってきている。

実写とアニメの中間のような映画は、これからどんどん増えていくだろう。

 

そんな映画には、テコリンの壁理論がマッチしない。

この理論は、時代遅れのものになりつつあるのかもしれない。

 

そして、SF映画の新時代には、

日本のマンガヒーローにチャンスが回ってくる。

テコリンの壁が完全に消えたとき、

素顔であることのデメリットから解放されたヒーローたちが、

縦横無尽に活躍してくれるだろう!

 

・・そんなことを予感をさせてくれる映画だった。

 

読者の皆さんはどう感じるだろうか?

アリータ:バトル・エンジェル』をみて感想を聞かせてほしい。

 

ドラえもん のび太の月面探査記』

3本目は、ドラえもんの最新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。

 

●『映画ドラえもん  のび太の月面探査』公式サイト

doraeiga.com

 

ミステリー作家の辻村深月氏が

初めて脚本を書くことに挑戦した映画だ。

 

辻村氏は子供の頃からドラえもんの大ファンだった。

そんな彼女が渾身の力で作り上げた脚本だ。

これは気になる。

 

辻村氏については、以前に連載で取り上げたことがある。

小説『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』のドラマ化にあたり、

原作者の辻村氏がNHK講談社の争いに巻き込まれ

さんざんな目にあった。という内容だった。

 

www.money-copyright-love.com

 

辻村さんのことは応援したい!

ということで、数十年ぶりにドラえもんの映画を観に行ってきた。

 

ストーリーは、のび太くん達が月を舞台に大冒険するというものだ。

 

前半にさりげなく張られた伏線を、

次々と回収していく後半は見ていて気持ちがいい。

さすがはミステリー作家の脚本だ。

 

ドラえもんのび太のドジっぷりを見ているのも楽しい。

劇場では、子供たちの笑い声があちこちから聞こえてくる。

久々に、ほっこりした気分になれる映画体験だった。

 

1つだけ難点を挙げさせてもらうと、上映時間が長い。

初期のドラえもん映画は90分程度だった。

最近では少し長くなって100分強ぐらいになっているが、

今回の映画は111分ある。

途中でトイレにいく子供たちが多く目についた。

 

でも、それ以外の点では十分に楽しめる。 

辻村さんは脚本の才能も持っているようだ。

 

読者の皆さんも、

子供の頃の懐かしい友人たちに会いに

劇場に足を運んでみてはどうだろう?

 

映画3本

以上、映画3本をレビューした。

 

スパイダーマンには興奮させられると同時に落ち込まされた。

アリータからは希望をもらった。

ドラえもんには癒された。

 

自宅で落ち着いて映画をみるのも楽しいが、

劇場での体験は格別だ。

 

このブログのテーマに沿った内容の映画があれば、

今後も報告していきたいと思う。

 

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