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JASRAC vs 音楽教室の話題をクールに語る方法

「文化の盗用」の連載は1回お休みして、

今回はJASRAC音楽教室の話をしたい。

 

JASRACの勝利

JASRAC日本音楽著作権協会ジャスラック)と

ヤマハ音楽教室等を中心とした「音楽教育を守る会」が

裁判で戦っていたが、

その第1ラウンドとなる東京地裁での判決が出た。

 

JASRACの完全勝利だ。

 

音楽教室での演奏は「公衆」、東京地裁JASRACによる著作権使用料の徴収認める判決

https://www.oricon.co.jp/news/2156333/full/

 

以前にもこのブログでJASRACの勝利を予想していたが、

その通りの結果となった。

(予想を当てたことは、スゴイことではない。

 著作権を少し勉強した人なら簡単に先が読める程度の戦いだった)

 

www.money-copyright-love.com

 

注目を集めた裁判なので、法的な論点については

多くの記者や専門家が解説記事を書くだろう。

細かい話を知りたい人は、それらの記事を読めばよいと思う。

 

今回は、仲間内でこの裁判の話題が出たときに

“クールに見える語り方”を書いておきたい。

 

ポイントは3つだ。

JASRACを否定しない。

・音楽家の目線を持つ。

・ルールのあり方についても語る。

 

JASRACを否定しない

ネット上のJASRAC批判に影響をうけて

「あいつらヒドイよな!」

「子供が音楽に触れる場から金をたかるなんて、

 どんんだけ金の亡者なんだよ!」

カスラック最低!」

などと言うのは、恥ずかしいのでやめておこう。

 

楽家JASRACは、戦略的に役割分担している。

楽家は素晴らしい曲を作ってみんなに愛される役。

JASRACはお金を徴収してみんなに嫌われる役。

キャバクラにおける「キレイな女性と黒服の男」と同じだ。

 

「俺は音楽を愛している。

 JASRACは音楽文化を破壊している。

 JASRACは最低だ」

と言う人と

「俺はキャバクラの女性を愛している。

 黒服はキャバクラを潰そうとしている。

 黒服は最低だ」

と言っている人は同じだ。

彼らの戦略にまんまと乗せられている。

かなり恥ずかしい。

JASRACを感情的に否定するのはやめておこう。

 

今回の件について言うと、

ケンカ(裁判)をふっかけたのは、JASRACではない。

音楽教室の方だ。

JASRAC音楽教室に対して地道に使用料の支払いを交渉していたのだが、

音楽教室側が「いやだ!払いたくない!」と“逆ギレ”して

勝ち目はほとんど無かったのにJASRACを訴えたのだ。

感情的になってはいけない。

 

仲間内でこの話題が出たら、早い段階で

「音楽が好きなのにJASRACが嫌いっていう人が多いけど、

 不思議だよね~。

 音楽家JASRACはグルなのに」

とクールに言って、

誰かが恥ずかしい発言をするのを予防してあげよう。

 

楽家の目線を持つ

次に、音楽家の目線で発言できたら、

色んな立場で物を考えられる人間にみえてカッコいい。

 

もしあなたが『アナと雪の女王』の

名曲「let it go」の作曲者だったとしよう。

 

あなたの住む町には1軒の音楽教室がある。

モーツアルトショパンチャイコフスキー等、

著作権のないクラシックの名曲を子供たちに教えている。

月謝は5000円だ。

子供たちは一生懸命に音楽を学んでいる。

 

そこへライバル業者が現れた。

「こっちの教室では、流行りの曲をお教えします!

 大人気の「let it go」を演奏できるようになりますよ!

 月謝は6000円です!」

ディズニー映画に夢中の子供たちは、新しい音楽教室に殺到する。

業者は楽器なども販売して大儲けだ。

 

これを見たあなたは、どう思うだろう?

「俺の音楽で金儲けしているなら、俺にも分け前をよこせ!」

という気持ちにならないだろうか?

これは自然な感情だ。

 

「子供たちからお金をとるなんて!」と言う人もいるが、

子供からレッスン料をとり楽器を売って儲けているのは音楽教室なのだ。

彼らは「子供たちのために!」と言って

ボランティアでやっているわけではない。

 

会話の中で音楽家の目線も入れて話そう。

「もし自分が作曲できたら、

 沢山の子供たちに演奏してもらえると嬉しいな。

 でも、業者が子供たちからお金とって大儲けしてるなら、

 何か言いたくなるかもしれないね」

ぐらいのことはサラリと言っておこう。

 

ルールのあり方についても語る

「教育目的なのに著作権が働くっておかしくないか?」

そういう感覚は、あって良いと思う。

そもそもルールが間違っているという観点だ。

(ちなみに、学校の授業で演奏しても著作権は働かない。

 営利目的の演奏だと著作権が働く(大雑把な説明))

 

JASRACは、ルールに基づいて最大限効果的にプレーしているだけだ。

サッカー選手に「オフサイドのルールがおかしい!」と

文句を言ってもしょうがない。

 

プレイヤーではなく、ルールの方に問題があるのかもしれない。

 

でも、それは今に始まった話じゃないのだ。

 

著作権法的にこれはOKなんだろうか?NGなんだろうか?」

そういうグレーゾーンはもともとあった。

 

その都度、裁判で争われ、白黒が付けられてきた。

音楽の分野では「カラオケ事件」「ダンス教室事件」などが、

その代表例だ。

 

どんどんグレーゾーンが狭くなっていった。

そしてほとんどの場合、白ではなく黒になっていった。

つまり、「著作権的にNG。権利が働く」ということだ。

 

今回の裁判をきっかけに

「今の著作権制度は一般人の感覚とズレてきている。

 そろそろルールの見直しが必要だ!」

と言う人も出てくるだろう。

 

その意見自体には私も賛成だが、「今さら」という気もする。

それを言うんなら「カラオケ事件」「ダンス教室事件」のときに

大声で言うべきだった。

(自戒もこめて。)

判例が積み重なった今になって言っても手遅れかもしれない。

 

会話の締めとして以下ぐらいのことを言っておこう。

著作権のルールもどんどん厳しくなってるみたいだけど、

 本当にこのままでいいのか?という気はするね。

 でも、ここまでの流れを全部ひっくり返して

 ルールを緩くするのも難しいんだろうね」

 

ここまで言えたら、とってもクールだ。

 

最後に「もっと著作権について勉強しなきゃ」と付け加えておけば、

何か質問が飛んできても

「いや、それについてはまだ勉強できてなくて・・」

とゴマかせる。

 

JASRACを否定しない。

・音楽家の目線を持つ。

・ルールのあり方についても語る。

3つのポイントを覚えておこう。

 

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(最後に、次回の最新記事のリンクがあります)

 

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次回は、前回の記事の続きです。

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