マネー、著作権、愛

創作、学習、書評など

テレビ局 VS 文化庁 VS 規制改革推進会議 大混戦のゆくえは・・?(7)

ここまでのまとめ

ここまでの話をまとめる。

 

著作権の世界では、放送とインターネットは別物。

 

・テレビ番組を作るとき

 権利者に「放送させてください」と言って許可とっても

 ネットに流すなら「ネットでも流させてください」と

 別に許可をとらないといけない。

 テレビ局にとっては大変な作業。

 

・規制改革推進会議の人たちは、

 インターネットでテレビ番組が流れないことは問題であり、

 原因は著作権という古い規制のせいだと考えている。

 「制度を変えなさい!」と圧力をかけている。

 

・推進会議側の考えを追い風だと考えたテレビ局は、

 このチャンスを利用して

 「放送とネット(同時配信等)を同じ扱いにしてほしい」

 と要望を出した。

 

・しかし、もしテレビ局の要望が通ったとしても、

 世の中の人の意識やビジネスのやり方が急に変わることはない。

 相変わらず放送とネットの両方の許可をとる実務は残る。

 テレビ局の大変な作業が急にラクになったりはしない。

 

・テレビ局もそのことを分かっているが、

 はっきりした戦略もないままに

 「とりあえず要望を出しておけば、少しは何かが良くなるかも」

 という大まかな考えで要望を出しているのだろう。

 

・放送に関する制度は大きく3つの階層に分かれていて、

 それぞれが複雑にからみあっている。

 放送とネットを同じにすると言っても、

 そんなに簡単な話ではない。

 制度改正するための調整はすごく大変。

 

・その調整はうまくいかないだろう。

 文化庁はそのことが分かっているから、

 誰も求めていない小さな改正でお茶を濁そうとしている。

 

以上のような状況だ。

 

この話は制度が複雑なことに加え、

登場人物たちもそれぞれの思惑でバラバラな動きをしているので、

シンプルなストーリーとしてまとめることは出来ない。

 

今後

こんなぐちゃぐちゃな状態に対して、

自民党(知的財産戦略調査会)がイラついている。

「とにかく期限を区切って議論を進めていきなさい!」

文化庁だけじゃ大変だから、総務省も一緒にがんばりなさい!」

とプレッシャーをかけ始めた。

とはいえ、議論の中身についてはそれほど踏み込んではいない。

 

自民党知的財産戦略調査会 放送のインターネット同時配信等に関する提言

https://www.jimin.jp/news/policy/200323.html

 

どんどんカオスに向かっているようだ。

 

今後この議論はどうなっていくのだろう?

 

正確な予想はできないが、これだけは言える。

パッとしない結果に終わる。ということだ。

 

「放送とネットを同じにする」という大きな変革を

省庁の調整だけでできるわけはない。

専門的な知識のある政治家が

積極的に議論の中身に分け入って大ナタをふるうことが必要になるが、

コロナで各方面が疲弊している中、

そんなことをやれる余裕のある人はいない。

要望を出しているテレビ局も、

はっきりした見通しをもっているわけではなく、

単に要望を出している。それだけの状態だ。

 

カオスの中で、誰にも明確な道筋がみえていない。

 

色々と議論された挙句に、

日本人お得意の「ほどよい落としどころ」が探られ、

とりあえず形だけのちょっとした制度改正がされる。

 

これが一番可能性の高いシナリオだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放送とインターネットの融合。

これ自体は大きなテーマだが、

その大きさに見合った深い議論は行われていない。

 

当面は議論の行方を見守りたいと思う。

 

Twitter

https://twitter.com/Kei_Yoshizawa_t

 

 

www.money-copyright-love.com