日本人は英語に複雑な感情を抱えてることを、
前回の記事では解説した。
健全な「憧れ」と「劣等感」。
そして、不健全な「罪悪感」。(「後悔」と言ってもいい)
教育界から(意図的に)コンプレックスを植え付けらえれた我々は、
どうしたら良いのだろう?
理解する
一番の正攻法は、コンプレックスの原因をちゃんと理解することだ。
「私が英語をしゃべれないのは、私のせいじゃない!
悪いのは自分じゃない!」
堂々と言えるようになろう。
そのためには、前回の私のブログを熟読しよう(笑)。
この本を読んでみるのもいいだろう。
『日本人の9割に英語はいらない 英語業界のカモになるな!』
癖のある本なので受け付けない人もいるだろうが、
書いてあることは❝まっとう❞だ。
英語なんてものに囚われる必要がないことを繰り返し主張している。
これで「あ、英語のこと気にしなくていいかも」と思えたら、
しめたものだ。
自信を持つ
次にお勧めするのは、日本語をもっともっと使うことだ。
日本語は非常にユニークな言語だ。
複数の文字、間延びした発音、文字と思考の一体化・・・
など、前回書いたような個性にあふれている。
その上で、高度な内容を扱うこともできる。
日本語で多くのことを表現すれば、
それだけ日本語と仲良くなれる。
たくさん本を読んで、たくさん文章を書こう。
作詞なんてしてみるのも良いと思う。
日本語の面白さが分かる。
そのうち
「日本語を軽々と使いこなす我々こそがユニークだ!」
と気づく。
それが自信になる。
私もこうして毎週文章を書いているが、
「よくもまあ、こんな珍妙な道具を使い続けているものだなあ。
でも、このコトバじゃないと自分自身を表せないなあ。
これこそ自分の個性だなあ」
と感じ続けている。
楽しくなって、最近では「脚本」まで書き始めてしまった。
自信を持っていこう。
あきらめる
それでもコンプレックスが消えなければ・・・・
あきらめよう!
我々は若い時から洗脳を受けながら育った。
「世界を舞台に活躍しなさい」
「外国人とは英語でしゃべりなさい」
「日本語だと世の中から取り残されます」
全部ウソッぱちだと頭では理解していても、
数十年がかりでかけられた❝呪い❞は、そう簡単には解けない。
「自信を持とう」と言っている私自身、
英語で会話中に「ウっ」と言葉に詰まってしまうと、
コンプレックスが一気に噴き出してくる時がある。
心がズキッと痛む。
これはもう仕方がない。
あきらめよう。
そのうち他のもっと重大な悩み事が湧いてくる。
英語の悩みなんてどうでも良くなるだろう。
それでも英語を勉強したいなら
私は英語が好きだ。
他の言語を学ぶのは楽しい。
中国語も少しだけ勉強している。
趣味としての語学なら、好きなだけやればいいと思う。
好きでないのなら無理して英語を学ぶ必要はない。
それでも・・・どうしても英語を勉強したいなら。
世間体のために、モテるために、コンプレックス解消のために、
勉強したいのなら。
とりあえず私から言えるのは3つだ。
・お金を無駄にしない。
・日本語の特徴から解放される。
・できるだけ先延ばしにする。
お金を無駄にしない
外国語の習得には、地道な努力が必要だ。
地道な努力。
それ以外の方法はない。
本当にない。
でも世の中は、努力が要らないかのような教材やコースであふれている。
「CDを聞き流すだけ!口から自然と英語が飛び出す!」
「200フレーズ暗記するだけ!これで英会話は全てOK!」
「ペラペラになるにはコツがある!
優秀な教師があなたを最短コースへお連れします!」
冷静に考えると
「そんなわけねぇだろ!」の一言で済んでしまうものばかりだ。
そして、そういうものに限って値段が高い。
それでも「英語があなたを救う!」という宗教にに囚われ
熱くなってしまった人間には、魅力的に見えてしまう。
あなたのコンプレックスにつけこむ悪質な業者は多い。
勉強するのはあなた自身だ。
高級な教材も教師も、あなたの代わりに勉強してくれない。
お金を無駄にしないよう気を付けよう。
日本人には英語が大人気なので、英語教材のマーケットは巨大だ。
そこでは熾烈な競争が行われている。
だから、安い教材でも十分にクオリティが高い。
自分のレベルに合わせてリーズナブルなものを選べば良いのだ。
日本語の特徴から解放される
以前の記事に書いた通り、言語の本質は「音」だ。
「文字」はそんなに大事じゃない。
しかし、日本語はユニークだ。
中国から輸入した「漢字」と悪戦苦闘しながら成長したせいで、
「音」だけではなく「文字」の方も重要になった。
だから教育現場でも、ついつい「文字重視」になっていた。
難しい漢字や漢文の読み書きができて、その奥深い意味を説明できる。
つまり「漢字を知っている」ということが「教養」だった。
英語教育でも、ついその癖が出てしまう。
英単語や英文の読み書きができることや、
文法を正確に理解していることが必要以上に重視されるように
なってしまった。
でも英語は日本語とは違う。
英語の本質は「音」だ。
文法を習うのは、英語の音に十分に慣れた後でいい。
日本語とその学習法からは解放されよう。
音をひたすら勉強しよう。
私の場合は、この教材は非常に役に立った。
『英語耳』
他の教材でも良いと思うが、
とにかく飽きるほどに「s」「sh」「th」などの音を聞き発音することで、
❝英語の本質❞に迫っている実感が湧くと思う。
できるだけ先延ばしにする
そして一番大事なのはこれだ。
英語の勉強を始めるのは、できるだけ後回しにしよう。
人生には他にもっと大切なことがある。
山に登って素晴らしい景色を見ること。
美味しいごはんを食べること。
大好きな人と過ごすこと。
使うあてのない英語のために、
あなたの貴重な時間を費やしてる場合じゃない。
本当に英語が必要になったら、その時に必死になればいい。
真剣さが違うので、短時間で習得できるだろう。
何とかなる。
私も何とかなった。
そして、先延ばしにするメリットはもう1つある。
それは、技術の進歩を当てにできることだ。
今や自動翻訳のおかげで、簡単なやりとりには困らなくなってしまった。
「ポケトーク」の精度は日々向上しているので、
日本語しか使えなくても
海外旅行でマゴつくようなことは無くなってしまうだろう。
ただし、自動翻訳に多くを期待しない方が良い。
AIは文章の「意味」を理解できない。
長い文章や、深い意味を込めた言葉を翻訳することは、
いつまでたっても出来るようにならないと思う。
期待したい技術の進歩は、
「自動翻訳」よりも、むしろ「教育手法」の方だ。
これまでは「効果的な英語の学習方法」について、
色んな専門家や実務家が好き勝手なことを言えていた。
「俺はこのやり方で英語を習得した!
これこそが正しい学習法だ!」
「私はわが子をペラペラに育てました。
秘訣を公開します!」
「私は脳の専門家です!
これが科学的に正しい唯一の方法です!」
どれも結局は、その人にとってだけ正しい自己流の手法に過ぎない。
(上記で私が書いた「音に慣れる」も、その一種だ)
信じて実践してみても、あなたには合わないかもしれない。
(だいたいの場合、あなたには合わない)
しかし最近では統計学が大きく進歩している。
以前の記事で少しだけ紹介したRCT(ランダム化比較試験)が、
世の中の様々なことについて
「何が効果があるのか」を明らかにしようとしている。
RCTを使えば、自己流とは格段にレベルの違う、
強い証拠能力に裏打ちされた「効果的な英語の学習方法」が
開発されるだろう。
私の知る限りでは、今のところそんな研究は行われていないようだ。
「学生を実験材料にできない」とか、
何か倫理的な問題があるのかもしれないが、
いずれは実施されると思う。
「いつかは英語をやらなきゃ・・」と思っている人は、
それまで待てば良いのだ!
統計的に効果のある学習法が開発された後で英語の世界に入っても
遅くはない。
英語の勉強はできるだけ先延ばしにしよう。
まとめ
今回のまとめは以下だ。
・あなたが英語をしゃべれないのは、おかしな教育のせいだ。
あなたのせいじゃない。
・日本語はすごい。
英語なんて気にしなければいい。
・どうしても英語を学びたければ、
ラクな方法は無いことを理解してお金は節約しよう。
・発音の練習に力を入れると良いかも。
・英語の勉強は後回しにするのが利口。
英語に限らず、
コトバの問題は人が人と関わって生きる上で避けては通れないものだ。
より良い解決法ないか、今後も考えていきたい。
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