マネー、著作権、愛

創作、学習、書評など

ダウンロード違法化ついに法改正へ!でも、気にしないでいい。

文化庁の勝利!(?) 世間を騒がせた「ダウンロード違法化問題」。 改正法案が国会に提出された。 文化庁の執念が実ったのだ! ●「海賊版」対策 強化決定…著作権法改正案 ダウンロード規制 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200310-OYT1T50387/ この法…

「文化の盗用」が大流行!! 未来の議論を過去から予習する(4)

「文化の盗用だ!」とネット上で大炎上させる手法が流行っている。 しかしこれは、昔から続く議論の続きだ。 ネット上の浅はかな大騒ぎではなく、 「フォークロア、つまり民族の文化をどう守っていくのか?」 という大きなテーマで国際政治の場で真剣に話し…

JASRAC vs 音楽教室の話題をクールに語る方法

「文化の盗用」の連載は1回お休みして、 今回はJASRACと音楽教室の話をしたい。 JASRACの勝利 JASRAC(日本音楽著作権協会・ジャスラック)と ヤマハ音楽教室等を中心とした「音楽教育を守る会」が 裁判で戦っていたが、 その第1ラウンドとなる東京地裁で…

「文化の盗用」が大流行!! 未来の議論を過去から予習する(3)

「文化の盗用だ!」と言って 人や企業を非難することが流行っている。 目新しい動きのように見えるが、 実はこの議論は何十年も前から続いているものの焼き直しだ。 世界知的所有権機関(WIPO=ワイポ)を舞台にして、 国際政治の場でさまざまな意見がでてき…

「文化の盗用」が大流行!! 未来の議論を過去から予習する(2)

前回の記事では「文化の盗用」が ネット上で非常に攻撃力の強い流行語になっていること、 でもその言葉の意味は曖昧で、 文化の盗用とそうでないものを見分けることが難しいことを解説した。 今回は、この議論のそもそもの始まりである1950~60年代ま…

「文化の盗用」が大流行!! 未来の議論を過去から予習する(1)

文化の盗用! 「文化の盗用(cultural appropriation)」という言葉が 大流行している。 コムデギャルソンのファッションショーで、 白人モデルにエジプトの王子をイメージした格好をさせたところ、 「カツラの編み方が黒人の文化を盗用している!」 と批判…

『ONE PIECE(ワンピース)』がハリウッドで実写化! でも、喜ぶのはまだ早い。

ファンにとっては嬉しい大ニュースが発表された。 ネットフリックスが、マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』の 実写版ドラマシリーズを制作し配信するというのだ。 ●『ONE PIECE』ハリウッド実写化、Netflixで全10話配信 尾田栄一郎も参加 https://www.cinra.…

オリンピックまで半年。あの悲劇を思い出そう。

東京オリンピックまで、半年をきった。 これから、日本中がお祭り騒ぎに飲み込まれていくだろう。 ●五輪まで半年、花火やライトアップで祝う 東京・台場 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54820370U0A120C2CR8000/ でも、我々はあの悲劇を忘れてしまっ…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(4)ハッピーエンド

日本のマンガや小説を原作にしてハリウッド映画を作る場合。 契約条件には要注意だ。 ここまでは3つのパターンの悲劇を見てきた。 ・映画が制作されず、塩漬けになるケース ・映画は制作されるが、無残な姿に改変されるケース ・映画はヒットするが、名声と…

死者に思いを。

おけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 「死者の権利」について この1年を振り返ると、 「亡くなった人の情報の扱い」について 注目の集まることが多かったと感じる。 京都アニメーションの放火殺人事件では、 被害にあった方の実…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(3)奪われた名声と大金

日本原作のハリウッド映画化。 満足できる契約条件にたどり着くまでの道のりは遠い。 ここまでは2つのパターンの悲劇を見てきた。 ・映画が制作されず、塩漬けになるケース ・映画は制作されるが、無残な姿に改変されるケース 今回は3つめのパターンを見て…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(2)原作レイプ

日本の作品を原作にしたハリウッド映画。 契約交渉は非常にハードになる。 今回は別パターンの悲劇を見てみよう。 今度こそ! 先週登場した角野君を思い出してほしい。 契約に失敗し失意のうちにマンガ出版社の芸漫社をやめてしまった。 やる気を無くし、お…

あなたの作品がハリウッドで映画化!?~悲劇の契約~(1)

『名探偵ピカチュウ』、『ゴジラ』、『アリータ』など、 日本原作のハリウッド大作に注目が集まっている。 子供の頃に日本の作品に夢中になっていた世代のアメリカ人が成長し、 映画プロデューサーとしての権限を持つようになり 「大好きだったのマンガを俺…

NHKが大河ドラマで大失態!~ラジオの謎(フィクションです)

声優人気のおかげもあって、ラジオドラマの需要は根強い。 ●ラジオドラマが続々復活 高まる需要の背景は? https://www.oricon.co.jp/news/2059729/full/ ラジオの仕事をしている人は、 おそらく9割以上が間違えるクイズを出題したい。 架空の内容だが、現実…

悪魔の契約 ~ 著作権譲渡について

今回は、一部のクリエイターから忌み嫌われている 「著作権譲渡」について、ちょっと考えてみよう。 クリエイターの目線から あなたはフリーの若手イラストレイターだ。 自分の仕事に誇りを持っている。 ある日、塗装業の会社から依頼が来た。 「弊社は塗装…

冬の日差しに感謝しよう

冬の本 本格的な冬が来る前に、読んでほしい本がある。 『八甲田山死の彷徨』 戦後に活躍した小説家・新田次郎氏の傑作だ。 日露戦争が目前にせまっていた時期。 ロシアとの戦いに備えるため、 日本陸軍は寒冷地での予行演習をする必要があった。 雪と寒さの…

マンガ作ったよ! & 権利はいつ切れるのか?

マンガ完成 制作していたマンガが完成した。 マンガ「助手席には流れ星」 (※実際の色味はもっと綺麗。写真撮影は苦手) 物流会社からの依頼を受けて制作したものだ。 トラック運転手が謎の女性と出会い、 ドライバーとして、人間として成長していく物語にな…

日本は英語を愛しすぎている。憎みすぎている。(2)

日本人は英語に複雑な感情を抱えてることを、 前回の記事では解説した。 健全な「憧れ」と「劣等感」。 そして、不健全な「罪悪感」。(「後悔」と言ってもいい) 教育界から(意図的に)コンプレックスを植え付けらえれた我々は、 どうしたら良いのだろう?…

日本は英語を愛しすぎている。憎みすぎている。(1)

大学入試に民間の英語試験を活用する件について、 延期が決定され、大騒ぎになっている。 ●安どと不満の声 英語民間試験延期 教育現場から https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191101/k10012160221000.html 「若者たちには世界で活躍してほしい!」 「英語…

ゲームの歴史と著作権の未来を考える

ゲームとは、映画である。 いやいや、別に比喩表現で深いことを語りたいわけじゃない。 著作権の世界では、 ゲームは間違いなく映画だということになっている。 そういう話だ。 著作物のジャンル 小説、音楽、絵画・・・など、 著作物と言われるものには色ん…

読書は数珠つなぎ

読書の楽しみ 秋は本を読もう! たくさん読もう! 「あ!ここで書かれていることは、 あの本の内容とつながってる!」 そんな発見があれば、 読書は途方もない楽しみを与えてくれる。 今回は良い本を紹介しつつ、 頭の中で本の記憶がつながっていく様子も説…

ダウンロード違法化ウォーズⅡ ~文化庁の逆襲~(2)

前回、法改正に失敗した文化庁。 今回は本気だ。 何が何でも「ダウンロード違法化」を成立させようとしている。 文化庁が実施中のパブコメについて見ていこう。 (パブリックコメント。パブコメ。 国民に広く意見を求めること) まずは結論 この話をしている…

ダウンロード違法化ウォーズⅡ ~文化庁の逆襲~(1)

ネット上に違法にアップされている文章やマンガをダウンロードすると、 著作権侵害になってしまう! そんな法改正に向けて文化庁がまた動きだした。 すごい執念だ。 ダウンロード違法化の経緯 ダウンロード違法化については、けっこうな話題になったので、 …

今、肖像権が熱い!

肖像権の円卓会議 肖像権についての勉強会に参加してきた。 いや~、熱い会だった。 「肖像権ガイドライン円卓会議 ー デジタルアーカイブの未来をつくる」 http://digitalarchivejapan.org/3661 主催は「デジタルアーカイブ学会」。 日本中にある歴史、伝統…

JASRAC 嫌いの人を、キャバクラから理解する

「ちょっと音楽つかっただけなのに請求書が来た!」 「JASRAC(ジャスラック)は金の亡者だ!」 「あいつらはカスだ!カスラックだ!」 あいかわらずJASRAC嫌いの人は多い。 「JASRACから音楽を守る党」なんてものも出来そうな勢いだ。 ●JASRACから音楽を守…

能年玲奈さんの名前は誰のもの? 肖像権の深淵に挑む(5)

ここまでは、肖像権や人の顔を中心に解説してきたが、 今回は人間を表すそれ以外の要素についても浅く広く考えてみよう。 能年玲奈の決起集会 最近、ヤマダ君の気分が晴れない。 ブログ「Mr.ヤマダのカスミウォッチ!」に有村架純さんの記事を 毎日更新して…

整形アイドルの顔は誰のもの? 肖像権の深淵に挑む(4)

おさらい ここまで3週にわたって肖像権について見てきたが、 簡単におさらいしておこう。 まとめると、以下だ。 ・肖像権について定めた法律は無い。 ・肖像権は、あいまいな権利。 だからこそ「私には肖像権がある!」と強く主張する人もいるので、 注意が…

タレントの本やグッズを勝手に発売しても大丈夫なのか? 肖像権の深淵に挑む(3)

「肖像権」は、 「肖像権」と「パブリシティ権」の2つの権利に分けられる。 今回は「パブリシティ権」の方について説明しよう。 スズキ君の異変 最近、スズキ君の様子がおかしい。 ヤマダ君と2人で有村架純さんについて語り合っているときも、 何だか身が…

自分の顔が勝手にネットにのせられた場合、訴えたら勝てるのか? 肖像権の深淵に挑む(2)

前回の記事では「肖像権」と一言でいっても、 「肖像権」と「パブリシティ権」の2つの権利に分けられることを 説明した。 今回は「肖像権」の方についての判断基準、 つまり「肖像権で訴えた場合に勝てるかどうか」の基準について 解説したい。 ヤマダ君の…

タレントの写真を本人に無断で使って良いのか? 肖像権の深淵に挑む(1)

自分の好きなタレントの顔写真を、 タレント本人(もしくは所属事務所)の許可なく勝手に使った場合、 問題はあるのだろうか? 今回はこの疑問に答えたい。 ファンがブログで使う場合 ヤマダ君という人物を想像してほしい。 彼は女優・有村架純さんの大ファ…